2010年02月03日

正規部分群と単位元

「什麼生!」
「説破!」
「如何是正規部分群?」
「単位元」
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さて、唐突ですが正規部分群の定義を眺めてみましょう。

Hを群Gの部分群であるとき。
 Gの任意の元gと、Hの任意の元 h に対して
 
  正規部分群定義1

が成り立つとき、Hを正規部分群という。

あるいは

 正規部分群定義2
 

であるとき、Hは正規部分群という。

などと書かれていても同じ。


 さて、この条件をちょっと変形して(両辺の右からgをかけて)

     正規部分群定義3

  としてよ〜く眺めてみるのもオツなものです。
 語彙の豊富な人は左剰余類と右剰余類が等しくなるとは何ぞやと唱えてみましょう。

 さて、「群の定義」は3つあります。
 1 結合法則
 2 単位元の存在
 3 逆元の存在

 単位元に着目します。

 群G の任意の元 g に対して Gの元 e がただひとつ存在して
   単位元定義

 となるe を単位元という。

  これもよ〜く眺めてみます。

 さて、正規部分群の条件と単位元の定義を並べてみましょう。

    正規部分群定義3
    単位元定義
 
 なんか似てるぞー。
 H を e とみなせば、これは単位元の定義です。
 正規部分群の定義ってかみ砕いて言うと「部分群自体を単位元と見なせる条件を表している」などと言い切ってみましょう。※1
 どの群の単位元? それが商群とか剰余群とか呼んでいるものになります。
 こうして群Gは正規部分群Hと剰余群(商群)G/H の二つに「分解」されます。これが「群」の「構造」を与えるカラクリですね※2。

 この「群の世界」での1ステップが「方程式の世界」でべき根を加える1ステップに対応しているのですが(2次方程式はコレが1回で済みます。)そのお話にたどり着くにはまだまだ半分?ですね。

 ではみなさん、体を御大切に。
 
                           つづく

※1 「誰かこの一言を言ってくれていたらいろいろ楽だったのになー」と思うのでした。個人的には群のお話はここがツボです。

※2 「分解」「構造」という言葉のウヤムヤ感、なんとかならんかな。
posted by ketaru at 11:44| Comment(2) | TrackBack(0) | 数学

2010年01月28日

素数位数なら巡回群

 「素数位数の群は巡回群ただ一種類」というのを、見るだけでなんとなくわかった気になる動画があったらいいなあ。と思ったのでちょっとした試みです。
 下は「有限群の広場」さんの「絵で見る有限群」の絵をお借りして位数ごとの絵をアニメGIFにしただけのものです。
(引用に問題がありましたらご指摘ください)
anime1-15


 素数である2、3、5、7、11、13で群は巡回群ただ一種類しかないことがわかりますね。
意味がよく分からなくても「なんか素数の所は回ってる奴だけだな」が見えればいいと思います。
 こんな感じの動画が見たいなあ。というお話でした。

素数位数 <=> 巡回群 <=>
 1のべき乗根というのは複素平面上での回転変換で巡回群

 と話は皆つながっているわけです。

 ーーーー 
 「おいチョット待て!その絵、位数15のところが巡回群1個だ。15は素数じゃないぞ。」 と気づいた人、スルドイ。
 「素数位数なら巡回群ただひとつ」の逆の「ただひとつの巡回群なら素数位数」は、成り立たちません。
 位数nの群が(同型な群を同一視して)いくつ存在するかという問題はnが特別な値をとるとき以外、その一般解を求めることはほとんど不可能である
.…
  n が二つの素数 p,q (p>q) の積であるとき、
  p ≢ 1 (mod q)なら位数 pq の群はただ一つで巡回群。
  p ≡ 1 (mod q)なら巡回群と非可換群の2つ

 岩波数学辞典「有限群」の項目より抜粋
 
 15は素数3と5の積
 5÷3は1で余り2 ここが余り1でないので巡回群ただ一つ。
  ナルホド。
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 メモ)そういえば、群論の初歩的な本で正多角形や多面体や結晶の話から群の話に持ってゆくというパターンをよく見ますが、そのあたりに書いていない一言は、「幾何学的な図形の群というのは実は群の世界ではほんの一部」だってことなのですね。
位数が同じでも違う群が一般には存在すると…。

 奥が深い…             

                   つづく
posted by ketaru at 13:49| Comment(0) | TrackBack(0) | 数学

2010年01月26日

「5次方程式は解けない」とは

 小学生にガロアの理論を説明するとしたら、どう言えばいいだろうか?
なんて数年前に友人と話をしていました
 小学生には厳しいかもしれませんが、「素因数分解くらいなら知ってるよ」程度の予備知識で読める内容で説明を試みてみましょう。


 ーーーー トライ1 あらすじ。群だけ目線 ーーーーー

 素因数分解って知っているよね。数があったら、それはいくつかの素数の掛け算で表せるって話。

  6=2×3 

 とか

 24=2×2×2×3

 とかだね。

 「群」の話も似ています。

 方程式には表からは直接見えないのだけれども、方程式に対応した「群」というものが考えられてね
それが数と同じように「分解」ができるんだよね

 もとの群を分解して、いくつかに分かれた「群」それぞれが「素数位数」(群が素数個の元の集合でできていること)になっていることが
なんと「解の公式がある(=四則演算とべき根の有限回の操作で解ける)」ってことと実は同じ。というのが一つのキモになっています。
 そして、一般の2次、3次、4次方程式までは必ずこの条件を満たすので解の公式があるんだね。

 ここで「数」の場合の「素数」にあたるものが、「群」の場合は「単純群」といいます。(「素数位数の群」は必ず「単純群」です。)
 

 さて、群を「分解」する時に「素数位数の群が出てくること」が、方程式を解く際の「べき根を使うこと」に対応していました。
ところが「群」の場合は「数」と違って単純群は「素数位数」とは限りません。
 一般的に5次方程式が解けないと云われる理由は、対応する「群」の分解をしようとする時に初めて「素数位数じゃない単純群」というのが現れるからです。
 (これがガロアの手紙にある「5・4・3」

  このことは方程式の世界に戻ると、解くための手段が「べき根だけでは足りない」ということになります。
 だから「解の公式(=四則演算とべき根の有限回の操作で解ける)」は無い。という話になっているのでした。

  解くための手段をどこまで許すか?で「べき根」だけだと4次方程式までが限界だってことです。
  (もしべき根も許さなかったとしたら、2次方程式ですら解の公式は無いってことになりますね。)
 

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 さて上の話では素因数分解に似た「分解」という言葉を使ってお茶を濁して見ましたが、こういう言葉は現代の群論の教科書には出てきません。
ガロアの手紙には「固有分解」という言葉で示されていますが、これも現代の群論では使われていません。
この部分の現代的な記述には、
 偶置換、奇置換、群、対称群、交代群、アーベル(可換)群、巡回群、部分群、右剰余類、左剰余類、正規部分群、単純群、剰余群(=商群)、凖同型定理、組成列、可解、ガロア群などなど… の用語を覚える必要があります。

  予備知識なしで群論の教科書に突入して「なんでこんな事やってるんだ?やーめた。」と投げだしてしまう数学向きではない性格の人(オレとか)は
 上のお話の元ネタ、ガロアの手紙(オーギュスト・シュヴァリエへの手紙)の前の方の1/3を読んで現代の教科書と対比させるのがオススメです。


                           つづく


「おい!その解く手段とやらを広げて5次方程式の解の公式とやらを見せてくれよ。」
「不勉強なので…そこはまだちょっと…(楕円モジュラー?だか超幾何?だか…ムニャムニャ)」
「そうか、だがガロアの言うところの ”5・4・3の群”で不変になるような変わった関数が絡んでるらしいまでは読めるな…。」


posted by ketaru at 23:26| Comment(0) | TrackBack(0) | 数学

2010年01月20日

群は見えにくい

というか直接見えてはいないものです。



 3文字の入れ替え=3次対称群=正三角形の対称性


この中では群というのは

(Id)   …単位元 なにもしない。
(1,2,3)
(1,3,2)
(2,3)
(3,1)
(1,2)

の6つの変換の群れの事

 直接見えている正三角形や、3文字の並びを扱うのではなくて
直接見えていない6コの「変換の群れ」に着目してその構造を調べる。そうすると何かいいことがある…そういうお話です。

 目はどうしても見えているものに焦点が合ってしまうので気づきにくいですね。

余談)「木を見て森を見ない」という表現がありますが、木と森の両方を見ても「群の視点」がまるまる抜けています。
「木も森も直接見えるものじゃないですか。これは見えてるものを見る話じゃ無いんです。裏にある見えてない”群”がどうなっているかが問題なのです」

動画はHSPのサンプルの誤用 作り直したいなあ
posted by ketaru at 23:52| Comment(2) | TrackBack(0) | 数学

2010年01月15日

Galois-0199

 2010年は群論のはじまりの数学者、エヴァリスト・ガロアの生誕199周年です。
ちょっと待てば200周年なのですが、199は素数だしガロアの勉強するにはよい機会なのです。などと勝手に決めてみようかな。

 では、本年もよろしく。
posted by ketaru at 00:08| Comment(0) | TrackBack(0) | 数学

2009年01月29日

ガロアといえば5・4・3

pppp.JPG

 ガロアといえば、5・4・3だねー。

posted by ketaru at 23:49| Comment(2) | TrackBack(0) | 数学

2008年07月05日

ソリトン解とオイラーのゼータ

 オイラーさんって前回ちょっとだけ覗いた論文から想像するに、とても楽しそうな感じがするのですが、ちょっとあやかって
みました。
sech
 

上の関数はKdV方程式のソリトン解というものにでてくるものですが、眺めていたら「オイラーさんが見たらきっと展開して遊ぶだろうなあ。」と思ったのでした。
 では早速やるべし。

tenkai

何コレ?これはキレイだなあ。
 ただ途中の変形で無限級数に直せる条件は 2行目で無限等比級数に見立てたところで、
 |e^2x|<0 ですから x<0 に限った式ですが。
 おまけに x=0 の時は前回やったオイラーさんの太陽の級数和 1-2+3-4-... =1/4 そのものだし。 
 (x>0 の時は...さっぱりわからない)
 
 とりあえず絶対値をつかって

soliton_zeta
 
としておきます。

ソリトン解は実は、オイラーのゼータ(太陽の級数)風の指数関数の無限和と言えたのでした。 へー。


posted by ketaru at 23:33| Comment(0) | TrackBack(0) | 数学

2007年12月11日

1+2+3+4+...=-1/12

zeta_minus.gif

 人騒がせな数式ですね、最初見たときはビビリました。
全部無限大に飛ぶのが常識ではなかったのか?
 なにかのいたずらかと思ったら、

 リーマンゼータ関数の負の値として確定しているとか、
ラマヌジャンは渡英前に自力で導いていたとか(ラマヌジャン書簡集に記述あり)、1/120がカシミール効果という物理実験の計算式に使われて、現実に確認される値になるとか、いろいろと深い話しが背後にあるようです。

 こういう式を書かれると、何だコレ?と気になってしまい、まんまと引っかかってしまうのでした。

                  つづく
posted by ketaru at 22:34| Comment(3) | TrackBack(0) | 数学

2006年08月03日

無限の話(1)

20060707.jpg

「ロジックだって?」
「それじゃ足りないよ、圧倒的に足りない。」


最初に書くネタはなんにしようかと思いましたが。
たぶんこれが相応しいと思います。(これを書くにあたって一切参考本は読んでません、というか手元に無し)

遥か昔、中学校の図書室で借りては読んでいた、今思うととんでもなく重要な本がありました。
それが、「無限の話」という本でした(現在はたぶん絶版だと思います)

曰く
無限には大きく2種類ある、数えられる無限(1番目、2番目と番号をつけられるもの)と、数えられない無限(それどころでは無いもの)
前者がアレフゼロ濃度で最低濃度の無限。
後者がアレフの濃度で遥かに多いのだ。
などと謎めいたことが書いてあったのでした。
科学になにやら高尚で神秘的なものを期待していた中学生はわからないなりにとりあえず記憶したのでした。

数えられる無限個以上の存在があることの証明に使われる手法を
「カントールの対角線論法」といいます。
(これが後々、ゲーデルさんという人が論理というものが不完全であることを証明した時にも応用されています。
これは後々大人になって、論理だ、理論だと振りかざす人達のウソや過ちを見抜くときに役にたつのでした)

お話のツボは極めて簡単かもしれません。

対角線論法メモ

4ビットの数値で考える。

1番目 0000 左から1番目の0
2番目 0001 左から2番目の0
3番目 0010 左から3番目の1
4番目 0011 左から4番目の1


対角線の数列0011 を反転させた 1100は この4つの何処にも属していない


これだけです。
この4が5でも10でも無限大でも同じようにこの集合の外側の存在を証明できてしまうというお話でした。








posted by ketaru at 01:05| Comment(0) | TrackBack(0) | 数学